「ただVenus、俺は今より
もっと見たい記事がある。」
私が読んでいたバックナンバーに、
視線を落としつつ、橘はそう零した。
「見たい記事……?」
「俺も社内で毎月目を通してるけど、
恋愛系の記事 減っただろ。」
「ゔ、、、。」
そう言われてみればそうだ。
橘は、分かりきったような顔で続けた。
「佐野が頑張ってるのも、皆分かってる。
ただ、まだきっと出来るんだって。」
恋愛系の記事は、私がVenus制作の中心に近づくにつれ、減っている。
自身の恋愛経験が浅い分、
取り上げる自信がなかったのだ。
橘とは、飲み会でそれなりに色んな話をしていたので、仕事一筋の私の事も、よく知っている。だからこその発言だった。

