*
* 要side
一体どうして、
この状況になったのだろう。
「……要さん、私のこと、どうして…
こんなに大事にしてくれるんですか。」
グラスに注いだワインを飲み干した彼女は、潤んだ瞳で突然そう尋ねた。
どこか不安そうに揺れる黒目は、いつもの彼女とは少し違っていて、心配になりながらも、不意にドキッとしてしまう。
「朱里、どうしたんだ?」
平静を保ちつつ、訊き返す。問われた彼女はそのまま切なそうに目を伏せた。
「だって、要さんといると、、
私ばっかり好きで、大事にしてもらって、
時々、不安になるんです。
私は、ちゃんと、要さんにお返し出来ているのかなぁ……って。」
思わぬ告白に、胸が締め付けられる。
まさか彼女がそんな事を考えていたとは。

