一口飲むと、ほっとした安心感が広がる。
向かいに座る要さんと目が合うと、彼は穏やかに微笑んでくれた。

それからの時間は、あっという間で……。
お家でのんびり映画を見たり、『Venus』のバックナンバーを2人で読み返したり、気付けば窓の外は夕暮れに染まり出した。


「食生活は仕事にも影響する。」

と、自炊もするらしい要さんの頼もしさもあり、夕食の準備は順調に進み、私は簡単なことしか手伝っていないにも関わらず、テーブルの上には次々と美味しそうな料理が並んだ。


「「いただきます。」」

口を揃えて、2人で食事を始める。
パスタやマリネなど、要さんの作る料理はどれも絶品で思わず笑みが零れる。

「美味しいです。すっごく。」
真っ直ぐ目を見てそう伝えれば、

「……よかった。彼女に手料理を振る舞うなんて初めてで、割と緊張した。」

なんて彼が安心したように笑うから、愛しさが込み上げてくる。