その直後、彼からのメールには

" 明日、午前11時に迎えに行く。
楽しみにしている。 要 "

と記されていた。
文面を読み、嘘じゃないのだと本格的に緊張し始める。

要さんのお家で、お泊まりデート……。

緊張と不安で胸が渦巻く中、どこか高鳴る鼓動を心地良く感じる自分がいた。




「お、お邪魔します……」

要さんのご自宅は、会社から車で15分ほどの所にある、単身者向けのマンションの3階だった。

緊張した足取りで踏み入れた部屋は、モノクロ基調でありながらも、絨毯やカーテンが柄物で揃えてあったり、素敵な雰囲気が漂う。

高層マンションの最上階で無機質な部屋に住んでいるような勝手なイメージがあった私は、少し安心して、ソファーに腰を下ろした。

「すぐに出社したりできるよう、こういった身動きの取りやすい住まいの方が楽だ。」

意外だったと素直に感想を述べると、マグカップを出しながら、要さんはそう言った。
彼らしいな、と思いながらお茶を淹れてくれたお礼と共に、コーヒーに口をつける。