「俺また告られたんだけど。」

広瀬遼河。
幼なじみだ。
イケメンというわけではないが、ノリが良く女子ウケがいいから、結構モテる。

「ふーん、良かったじゃん。」
「愛華ちゃん可愛いし、性格も良いし、付き合っちゃえば?」

また思ってもないことを言ってしまった。

「いや俺、本命いるから。」

「……そんな顔でこっち見ないでよ。」

真っ直ぐな瞳と真っ赤な耳。
こんな顔で見つめられたら、誰でも期待してしまう。

「ねぇ、俺こんなにアピールしてるのに気付いてもらえないの?」

そんなことない。
ただ、私が自分に自信を持てないだけ。

「葵は、俺のことどう思ってる?」

「……す、」

好き。
たった一言なのに。
言葉が、出ない。

「ごめん…帰る。」

結局逃げてしまった。
自分から告白できる人の勇気が、本当にすごいと思う。

「……っ」

立とうとした瞬間。
とても強い力で、腕を掴まれた。

「だめ。最後まで言うまで帰さない。」

あぁ、もう本当にどうしようもないくらい。

「好きだよ……誰よりも、遼河のことが好き。」

涙で視界がぼやけて前が見えない。
今、遼河はどんな顔してるんだろう。

「やっべー、何その顔。超萌えるんですけど。」

「萌えるってどういうこと……んっ!?」

たった一瞬。
時が止まった気がした。

「唇やわらかっ。」

「ちょ、へ、変態!」

「俺ファーストキスの相手は葵って決めてたから。」

真っ直ぐな瞳、真っ赤な耳。
やっぱり私は遼河のことが大好きだ。

──END──