「それよりさ、緑と黄色の仲の悪さは

なんとかなんないもんかね。

両方とも三原色は俺だって言い張ってるだろ? ハァ」

 赤はため息をつきながら項垂《うなだ》れた。

「確かに。色の三原色は赤、青、黄。

光の三原色は赤、青、緑だからな。

黄と緑が仲良く出来ないのはしょうがないよ」

「黄と緑の気持ちも分かるけどさあ、

黄と緑の祖先は結婚して黄緑なんていう

可愛い赤ちゃん産んでんだから

意味分かんねえよな」

「ハハッ! それな!

でもおれたち赤と青の祖先も結婚しただろ?

それで産まれた紫も微妙な人生だよな。

紫を愛してくれる女性も多いけど、

なんと言ってもヤンキーが愛してやまない色に

なっちゃったもんな」

青は苦笑しながらそう言った。

すると色世界の首領《ドン》と呼ばれる奴がやって来た。

赤でさえも腰を低くしてしまう相手である。

「ああ、これはこれは白さま。

お久し振りでございます。

いつも人間さまの結婚式では

お世話になっております。

白さまはどんな色とでも様になりますよね。

羨《うらや》ましい限りです。

人間さまの終焉《おわり》には、

あのおっかない黒さまとだって

粋《いき》に調和していらっしゃる。

いやあ、尊敬致します。

来年も小学校の運動会、

宜しくお願いいたします。

来年こそ負けませんよ」

「おだてても何も出ませんよ、赤さん。

お褒《ほ》めいただけるのは嬉しい限りですが、

わたしは人間さまの命を救う事はできません。

それに引き換え赤さん、

あなたは死にそうな人間さまの

お力になってるじゃないですか。

我々白には輸血などできませんからね」

「いやいや。それもこれも血液《わたしたち》の中で

協力していただける白血球《しろ》さまのおかげですよ