「ねえ、赤さん。君はいつも人気者でいいよな」

そう赤に嫉妬《しっと》しながら話し始めたのは青である。

「何をおっしゃいますやら……。

青さん、君だって他の色のみんなに羨《うら》ましがられる程の人気者じゃないですか。

人間さまの子供たちのおえかきを見てみろ。

海に空、子供たちはみんな君を愛してるんだよ。

それに比べて僕たち赤が絵の中に出てくるのは、

『火の用心』のポスターを描いてくれている時くらいのものだよ」

赤も青に嫉妬しているようだ。

「でもさ、その子供たちが大好きな

『なんちゃら戦隊なんちゃらレンジャー』

ってあるだろ? 

そのドラマの中ではいつも赤がリーダーなんだよ。

いつだって俺たち青は二番目。

だから君《あか》が色の中では一番なんだよ。

だいたい、人間さまのやってる運動会だって、

赤組と白組に分かれて競い合ってるだろ? 

青組を作ってくれる小学校なんて聞いた事もないよ」

「まあまあ、そう僻《ひが》むなって。

なんといってもクレヨン王子は君たちなんだからさ」

「ま、まあな」

 クレヨン王子と呼ばれ、

青はまんざらでもない表情をした。