女の子達が翔ちゃんの視線をたどって私に気付く。
みんないっせいに私を見た。
(あぁ、あの子?ただの幼なじみだよ)
(しかもE組だし、特に可愛くもないよね?)
(彼女って噂もあったじゃん)
(そんなのデマでしょ、どうみても宮辺君と不釣り合いだし)
(宮辺君があんな子相手にするわけないじゃん)
(あなたよりあたしのほうが絶対宮辺君に相応しいと思う)
彼女達の視線に圧倒されてしまう。
そんな声が聞こえてしまう。
こわい。
その冷ややかな視線に耐えられそうにない。
弱虫な私は気付いたらみんなに背中を向けてその場から駆け出していた。
どこにも居場所がなかった。
翔ちゃんの隣にいけなかった。
翔ちゃんが私を呼ぶ声を初めて無視した。
泣きそうだったから。
誰も翔ちゃんに触らないで。
翔ちゃんの心に触らないでって
ほんとうは、そう言いたかった。
それは単なるやきもちで、
不安になるのは私に彼女の余裕もカンロクもないから。
下駄箱まで走って急いで靴を履き替えて、すこし滲んだ涙を拭う。
渡せるはずだったチョコレートを鞄ごと強く抱きしめる。
いやだ、泣きたくなんかない。



