《短編》翔ちゃんチョコだよちゃんと貰って?


早く翔ちゃんに会いたい。
なんで昨日のうちに約束しなかったんだろう。



こんなに不安になるなら誰からのチョコも貰わないでね、私からしか受け取らないでね。って言えばよかったんだ。



でもそしたら翔ちゃんはなんて答えるんだろう。
余裕のないやつ、って呆れるだろうか。
束縛する女の子は苦手とか。
……彼の反応を知るのも少しこわい。



『宮辺、会いたいよ……』


心の中で小さくつぶやいてみる。


「美緒?」


妄想の声にさえ応えてくれるこのドストライクな甘い声は。


「宮辺!」


咄嗟のことでさっきの妄想がそのまま口に出た。


「なんで名字なんだよ」


呆れたときに見せる優しい笑顔。


(ねぇ、翔ちゃん。それってさ、)


言いかけた言葉が、翔ちゃんを呼ぶ女の子達の明るい声にかき消される。


「ん、なに?」


翔ちゃんはあっという間に何人かの女の子と、その声に囲まれて行く手を遮られてしまった。


でもさ、今さ、
私の問いかけに答えようとしてくれたよね?


ねぇ、翔ちゃん。
さっきのはさ、私に向かって笑った?
私だけに笑ってくれたの?


そう聞きたかったのに。