「なっちゃん。わたし、順番待とうかな」
「え、ほんとに?」
うなだれて呟いたらなっちゃんに少し笑われた。
「彼女なのに? 堂々と行って構わないんだよ」
「いや、待つ」
「ほんと? 顔にはやだな、って書いてあるけど?」
「気のせい気のせい」
「宮辺って変なとこで真面目だから毎年ちゃんとみんなから受け取ってるよ。それでもいいの?」
「いいわけないじゃん。でも横入りとかできないもん。待つしかないじゃん」
「へぇ、美緒って意外とタフだったんだね」
なっちゃんにいくら褒められたって、出遅れた私は列の最後尾でうなだれるしかできない。
なんか女の子たちの波に酔っちゃって目眩がする。
本命だろうと友チョコだろうと翔ちゃんにチョコレートを渡したい子がこんなにいるなんてやっぱりショックで。
そのままみんなの溢れる想いのなかに落っこちて溺れてしまいそうになる。
頑張って泳がなきゃ翔ちゃんのもとにたどりつけない気がする。
見渡せば美人の先輩とか各学年の目立ってる子達が普通にいてそれはファンチョコなのかもしれないけれど、その影でモジモジしてる大人しめのあの子のは本命チョコかもしれない。
この中に翔ちゃんのことを本気で好きな子がいるんだと思ったら、胸の奥がざわざわと波打って、不安や焦りが膨らんでいく。
その最後尾にいるのが私だなんて。



