《短編》翔ちゃんチョコだよちゃんと貰って?

正門を抜けて、下校する子たちがまばらになった辺りで、ふとバッグの中身がどうなっているか不安になって立ち止まった。


「おっ、やっと?」


翔ちゃんが楽しみにしてくれてるのが嬉しい反面、中を見るのが恐ろしい。
だって逃げ出すときに、力まかせに抱きしめてしまったもん。


「げ!」


「げ、って?」


中を確認して絶望的になった。結んだリボンの形にすらあんなにこだわったのに、ただの潰れた箱になってる。中身はトリュフと同じ形のラムボールだし、最悪だ。


「どうしよう。こんなのあげられないよ」


出すのをためらっていると、翔ちゃんは勝手にそれを取り上げ、見て、一時停止した。


「なんでこんなんなった?」


「それは……」


「交通事故かなんかにあったっけ?」


「……あってません」


「じゃ、屋上から叩き落とした?」


「……落としてません」


「じゃ寂しくて鞄ごと抱きしめたんだ?」


「…………」


「もしかして俺の代わりにしたんだ。ぎゅーって? 」


そんなこと考えもしなかったけど、寂しかったのはほんとだった。


「そう、かも」


「かも?」