「そうなの? ほんとに?」
「そうなの。ほんとに」
照れてる!
翔ちゃんが私にもはっきり分かるくらい照れてる。
「ね、俺ダサいっしょ?」
「ダサくない、ちっともダサくない!」
私と目を合わせないよううつむいてるのがたまらなく愛おしい。
翔ちゃんがこっちを見てないのをいいことに、私はその横顔を熱く見つめた。
見慣れてるはずの横顔なのに、
いまだに胸が切なく脈打つのはなんでなんだろう。
「ならいっか」
翔ちゃんは会話をはぐらかすみたいに笑って私の手を取った。
その手から私の手に優しい体温が伝わってくる。
だから私の手からは、
このしあわせな気持ちが伝わって欲しい。
「俺、美緒が作るお菓子好きなんだ」
「あの……うん。アリガト」
わざと手を強く握って、イタズラっぽく笑う翔ちゃんにうろたえてカタコトになってしまった。
「で、今年は何作ったの?」
「うん……えーと。あとでね」
「焦らすんだ?」
「だって……みんなすごく見てるし」
「別にいいじゃん、他人の目なんて」
そんなこと言われてもまだまだ恥ずかしい。
きっと私達アホだと思われてるし。
でも、この手はもうしばらく離せそうにない。
「まぁいっか。楽しみ」



