ビックリして聞いたら翔ちゃんはちょっと恥ずかしそうに自分の爪先を見た。
「去年はブラウニーでその前はトリュフだろ。で、その前が確かガトーショコラ。それ全部金払って食べた」
「確かに去年はブラウニーでその前はトリュフだった!」
「食いつくのはそこじゃないだろ!」
翔ちゃんはクスクス笑いだしてしまった。
「なんでお金払ってまで?
実日子さんそんなこと今まで一言も言わなかったよ?」
「姉ちゃんて人の弱味につけ込むんだよ、あの人俺が甘党なの知ってるし、あと」
「あと?」
翔ちゃんはそこで言葉を止めて、首の後ろを掻いた。
「あとさ。あの人俺が美緒のこと好きだって気付いてたし。俺は美緒の手作りチョコ、すげー食べたかったし」
何も言えなくなってしまった。
全身が熱くなる。
今が夏なのか冬なのか一瞬分からなくなってしまうくらいに。



