《短編》翔ちゃんチョコだよちゃんと貰って?


「……今の、なに?」


嬉しいより恥ずかしい方が勝って、私はその場からダッシュで逃走した。


下校途中だった女の子達がキャーキャいってる脇を顔を隠して駆け抜けた。


「美緒、逃げんな!」


それなのに翔ちゃんは猛ダッシュでこっちに向かってきて、私はあっけなく追い付かれて腕を掴まれてしまった。


「待てって! 今年1個も……もらってない……てば」


息を切らして、荒い呼吸で翔ちゃんはそう言いきった。


全力疾走したからか、
あんなことしでかしたからか
耳まで赤くなってる。


「それほんとう?」


「ほんとだって。くるしい……あちぃ」


翔ちゃんは巻いていたマフラーを乱暴に外して、私の首にふわりと巻いてくれた。


「なんであんなこと……恥ずかしすぎて死にそうだよ」


そう言いながら翔ちゃんのマフラーに顔を埋める。大好きな翔ちゃんの匂いを吸い込む。
そのなかで冷えきった指先を温める。
意味もなく耳たぶを触る。鼻をすする。


なんかしてなくちゃ、泣きそうだった。