雫?)
「マスターは背を気にしていらっしゃいます。できれば、今後はこの話題に触れないように」

有村穂乃夏)
「(な、なんか優しい。さすが完璧美人。お近づきになりたい。っは!そうだ)あの!ちょっと良いかな?」

雫?)
「?」

有村穂乃夏)
「(首かしげてる。キュート!)雫?ちゃん、私と友達になってくれませんか?」

雫?)
「……」

有村穂乃夏)
「(やっぱり、美形なこの子と私が友達になるのは不可能なの!?黙り込んじゃった……)」

雫?)
「なんで、“ちゃん”なんですか?」

有村穂乃夏)
「え?」

神崎雫)
「改めて。神崎(カンザキ)雫です。そして、正真正銘、僕は男です」

有村穂乃夏)
「【ぽか〜ん】う……うそおぉぉ!?」

北条麻莉奈)
「雫!いつまで待たせますの!?」

神崎雫)
「yes、マスター。では、失礼します、有村穂乃夏様。【ニコッ】」

二人は廊下に出ていった。

有村穂乃夏)
「男の子だったんだ。髪の毛長くて、中性的な顔だったから、てっきり」

橘雅志)
「あいつ、男だったんだ」

有村穂乃夏)
「ぇ?橘君、知らなかったの?」

橘雅志)
「ああ」

緋室橙里)
「昨日会っただろ」

橘雅志)
「そうだっけ???」

有村穂乃夏)
「(あ〜、壊滅的な記憶力だと、昨日会った人のこともろくに覚えていないんだ。あんなカッコ可愛いのに。でも、ちょっとだけ納得。力強かったもんね)」

橘雅志)
「なんか、転入生が何にもないところ見てるぜ、トウヤ」

緋室橙里)
「橙里だ。良い加減覚えろ」

橘雅志)
「あちゃ〜、また間違えた。悪い」

緋室橙里)
「はぁ〜……。有村、授業始まるぞ」

有村穂乃夏)
「あ、うん。(あ〜、“有村穂乃夏様”だって。あっ!“雫”って、ちゃん付けとはいえ、名前呼びじゃん。ま、いっか。雫君って呼ぼう、ニヒヒヒ)」

橘雅志)
「にやけてやんの(笑)」

有村穂乃夏)
「に、にやけてないよ!」

緋室橙里)
「口角が1.5cm程上がっている」

有村穂乃夏)
「着眼点が鋭すぎる〜。(ムムム……)」

キーンコーンカーンコーン……。

チャイムがなり、授業時間のスタート。

この物語は、有村穂乃夏が転入してきた初日の様子。

ここは異色の初等部。

これから、有村穂乃夏を中心とした変人たちが数々のハチャメチャな事件を引き起こす。

そして、今の有村穂乃夏は、ワクワクと不安の五分五分の状態である。