携帯が鳴り、画面をスライドし電話に出る。

「もしもーし」
『あ、涼ちゃん?こっち終わったらそっち行っていい?』
「ええよーって、そっち終わるん?」
『すぐ終わるよ。終わんないの千秋と杏だけだし』
「そう…まぁ来てもええよ」
『ありがとー。じゃあまた後でね』
「はーい」

電話を切ると隣の高成が誰?という顔をした。

「凪くん。終わったらこっち来ていい?って」
「なんで母親のあたしじゃなくて涼ちゃんとこにかけるのかね?」
「涼ちゃんが一番フランクにいけるんじゃない?」

なっちゃんの言葉に苦笑するしかないあたしを悟さんがフォローしてくれる。

「涼ちゃんはママっていうより友達って感じですもんね」

ニコニコとそう言ってくれる陽夏ちゃんの言葉に返事をしようと口を開けばまた着信。

「もしもーし」
『涼ちゃん、今日千秋来るよね?』

不安げなトーン。
今朝、家を出る時に行けと言うたから行くと思う。そのために紗生を使ったし。

「行くよ。紗生も行くから」
『さっちゃんは家にいるけど千秋まだ来ないの』
「んー、さっき凪くんから電話来た時に音楽聴こえたから一緒におるんちゃうかな?」
『そっか…』
「時間なってもこんかったら電話して」
『わかった』

始終不安げなトーンの杏ちゃんからの電話を切って陽夏ちゃんを見たら「次はうちですか?」と驚いた。

本日、‪12月25日のクリスマスはいつものメンツが家族で集まってアダルト組、キッズ組でクリスマス会を開いている。‬

‪現在時刻は午後6時。‬
‪アダルト組は青山家で集まって昼の3時からお酒を空けてる。‬
‪キッズ組は各々用事があるらしく集合場所は谷口家で時間は午後6時らしい。‬

クリスマス会は毎年恒例でするけど、今年は杏ちゃんの希望で別々に行うことになった。
陽夏ちゃんによるとケーキを焼いてたらしく、それをお披露目したいらしい。

毎年うちか谷口家で行われるクリスマス会。
中塚家は少し離れてるけど、世津とあたしが仲良いのもあって中塚さんが嫌々ながらも参加してくれる。
嫌々っていうても毎回楽しんでお酒に溺れてるように見えるけど。

涼介は相変わらず単身で来るし、単身で来ても子供達が相手してくれるからそれで忙しいらしい。
一生独身かもしれん、と涼介以外は思ってるけど、涼介もきっとそう思ってるに違いない。

まぁ、独身でもいつもうちにおるし老後は3人で暮らすことになりそうなのは覚悟してる。