「痛い、痛い!半分冗談だけど、俺は涼を信用してる」
「半分冗談じゃなくて全面的に信用してよ」
「悪いけど、それは無理」
「なんでよ?!」

高成の“信用できない発言”に本気でショックを受けて本気でムカついたから、もう一度頬をつねってやろうと思って手を伸ばしたのを見事に避けられ、それを片手で捕まえられた。

「…離して」
「俺が涼を離すわけないだろ」

そのまま両手を引かれて倒れるように高成の胸に飛び込んだ。
ぶつかる寸前で両手を解かれ高成も背後へ倒れて、二人してソファーに倒れこんだ。

「せっかく2人だけなんだから有意義に過ごさないとな」
「有意義?」

顔を上げて尋ねると「そう」と言って、上に乗っていたあたしをいとも簡単に下にして高成が覆いかぶさってきた。

「なに?」
「なに?って、二人で愛を確かめることって一つしかないだろ」

そう言ってニンマリした顔したまま、あたしに口付けた。
音を鳴らして交わしたキスは高校生みたいな可愛いキスでなんか笑えた。

今までの不安はどこへいったんや?ってくらい、これだけで高成で満たされる自分自身に呆れる反面、やっぱり好きやなって思う。

「この3日間で愛を確かめあうのも悪くないな」
「よくない!!」

即答で拒否するあたしに怪訝そうな顔をしたけど、それも悪くないかもしれないと一瞬でも思った自分が恥ずかしくなって誤魔化した。

今頃は千秋も実家でおばあちゃんとおじいちゃんのVIP待遇に酔いしれてるに違いない。
そんな中、あたし達がこんなことをしてるなんて子供には知る由もないけど、こんな日があったって悪くないのかもしれないと思えた。

千秋にかかりっぱなしで夫婦の会話が少なくなったからこういうことになったんだ、とちょっとだけ千秋のせいにさせてもらって、そしてちょっとだけ感謝もした。

「陽夏ちゃんと京平に迷惑かけちゃった」
「…こんな時にサラと京平のこと考えるなんて、いい度胸してんじゃん」

これだから目が離せないんだ、と呆れたように言う高成に首を傾げるしかできなかったけど、終わりよければ全てよしって言うし、きっと京平がなんとか宥めてくれてるに違いない。

谷口家への報告は後ほどにして高成に集中しないと3日間が有意義に過ごせなくなる、そう思いながら、眉間にシワを寄せてあたしを見つめる高成に微笑みかけながら高校生みたいな可愛いキスをした。







「高成、仕事は?」
「あ、忘れてた」
「仕事に戻って」
「いや、急用って抜けてきたから大丈夫でしょ」
「・・・ダメでしょ」
「はい、この話おしまーい」



End