陽夏ちゃんと京平はすでに半同棲状態で家の中はほぼ陽夏ちゃんの趣味で固められてる。
服も家具も何もかも2人用で、後々はそこに2人で住むらしい。
まぁ、今も住んでるけど。

一昨日の夕方こっちに着いて、陽夏ちゃん、京平、涼介の3人で晩ご飯行って、京平はあたしが来たからって珍しく気を遣ってくれて、多少の文句を言いながらも、そのまま高成の家に行った。

涼介もそこでバイバイして、それからは陽夏ちゃんと夜の街をぶらぶらして、あとは陽夏ちゃんと京平の話を延々聞いた。

朝は高成んちから帰ってきた京平にあたしだけ叩き起こされた。
陽夏ちゃんのベッドで寄り添って寝てたのが気にくわんかったらしい。

陽夏ちゃんは優しく名前を呼んで起こしてたのに、あたしは頭をはつかれるってゆう、この扱いの差!!
優しくされるのも気持ち悪いけど、女の頭をはつくその神経も考えもんやと思う。

お詫びにあたしが朝食を作って、朝食に文句つけられた。
そのあとメイクするために再び陽夏ちゃんの部屋で2人で篭る。
それについても自分と陽夏ちゃんの時間がないからって、「くっつきすぎ」と陽夏ちゃんに怒って、あたしには「ウザイ」と舌打ちされる。

どうでもいいけど、女のあたしに嫉妬すんな!と思う。
陽夏ちゃんが始終笑顔でおるから京平もきつく言えんくて、あたしの顔見たら溜息ばっかり。

「だから京平の機嫌が悪いのか」

同じく京平の名前が高成から出たから、思わずテレパシー?!と思って勢いよく顔を上げると「うぉ?!」とびっくりされた。

「家に来た時から機嫌悪くて、一人で勝手に俺の酒煽って寝たんだよ」

でも涼が原因ならしょうがないな、と笑う高成。
京平の機嫌が悪い原因があたしなら、しょうがないって。
あたしが原因ならしょうがないって。
京平には怒られそうやけど...ヤバ、ニヤけるっ。

「ニヤけるなよ」

意地悪顔で言われて、恥ずかしくなって胸に顔を埋める。
やっぱり来てよかったと思う。

年明け早々高成とくっついてられるとか幸せすぎてバチ当たりそう。
嬉しくて高成をギューッと抱きしめたら、「甘えてんの?」って笑われた。
笑うとかヒド過ぎる。

久しぶりに会うから再会のハグやのに!て言うたら「チューじゃないの?」って言われて固まってしまう。
そんなあたしを見て高成は笑う。
笑われても、その笑顔が見れれば、なんでもいいねんけど。

「どうせなら、カウントダウンも一緒に居たかった、かな」

高成はあたしの頭を支えて自分の胸に押し付けた。

心臓が、早い。
多分、素直になってる自分が恥ずかしいんやと思う。

無意識にも口元が緩む。
あたしにはカウントダウンを一緒に過ごすって計画は一切なかった。
とりあえずサプライズがしたい、その一心でしかなかった。

だから、だから?って訳じゃないけど、高成から電話が来るまで年越したことにすら気付かんかった。
だから、3人にも新年の挨拶し忘れてる。

無言のあたしを不思議に思ったんか、少し離れて顔を覗き込む。

「涼?」

ん?と首を傾げると不意打ちで頬にキス。

「?!」

驚いて何故か思わず口を隠すと、今度はその手に何度もキスを落とす。

「ちょ、っと高成」
「んー?」

口を隠すな、とでも言うように何度も手にキスするけど、手以外にはしてくれへん。
どうせなら、というか、キスするなら手より唇がいいのに…と恥ずかしい事を思ってしまう。

「ん?!」

そんなことを考えてたら脳内を読まれたように頬にキス。
左右キスされて、今度はおでこ。
順番にされるがままになってたら、顔中隙間なくキスされた。
あとは隠してる唇だけ。