「そしてね、わたしがその人に気が付いた時にはもうその人がベンチに寝ちゃってたんだよ。その人の寝てるところを見て思わずきれいだと感じちゃって撮っちゃた写真がこれなの。あっ、でもその人はわたしを見てないから安心してね」


 
 事実と虚実を重ね合わせ、うそ、秘密、真実……

 
 絶対に交えることのないわたしの偽りのミルフィーユが出来上がる。


 
 理人さんは、どことなく先ほどよりもほっとしたような面持ちになった、そんな気がした。



 そう、そんな気がしただけ。





 この時の理人さんの心情を、わたしは全く知らなかったのだ……




 わたしよりも、理人さんは大人で、わたしのことを私よりも知っていることをわたしは忘れていた……