「小さいときからわたしのこと知っている理人さんがそんなこと一番わかっているよね?」


 今のわたしは女優にでもなれるのじゃないかと思うくらい普段通りの笑顔でいう。


「そうだね。琴音ちゃんは琴音ちゃんだもんね」


 理人さんのこの言葉にわたしはすくなからず自分を自分でたくさんの鎖で縛り、誰も知られないようにその上に服を着ているのじゃないかと感じた。



 このままではいけないと思い、わたしは理人さんが望んでいたあの質問の答えを答えようと思い口をひらく。


「今日ね、鍵をしておくの忘れっちゃっててそしたら人が入っちゃたんだ。でも、その人の侵入にわたしは気づかなくて、たぶんあの人もわたしがいることに気づかなかったんだと思うの」




 ここまでの話は、昨日の出来事に少しのウソをコーティングしたものだ。