理人さんはわたしの兄の友人に当たる。


 年は26歳。わたしより10歳年上である。



 小さい時から優しくて、実の兄よりも理人さんのほうになついていた。


 兄によく意地悪されて泣くわたしを慰めてくれて、兄にからかばってくれたから余計だろうな。



 実は、理人さんはわたしの通うあの学園の理事長の息子だ。だから、わたしは屋上の温室のカギを理人さんからもらうことができた。



 理人さんの話では、先生の中でも温室のいや、屋上の存在を知らない人もいるらしい。



 そして、一昨年あの温室のユリを育てていた理人さんのお母さんが亡くなられたので世話をしてくれる人を探していたのでわたしがちょうどよかったみたいだ。



 そんなこんなで、わたしは小さい時からずっと理人さんにはお世話になりっぱなしなので些細なことで理人さんにお返しができればと思う。