キィッ  と、扉が開く音が聞こえた。



 久我君がいなくなった後わたしは今日のことを振り返りながらぼんやりと目の前の花を見ていた。



 だから、突然耳に入ってきた音に驚いて肩が一瞬上がってしまった。



「琴音ちゃんお待たせ。行こうか」



「はい、理人さん」



 わたしは椅子から腰を上げて理人さんのもとへ駆け寄る。

 わたしが駆け寄ると、理人さんはいつも両手を広げてわたしを待っていてくれる。


 もうずっと続けている習慣のせいか高校二年になった今でもなかなかやめることができないくらい体が反射的に動いてしまう。




 この理人さんこそが、わたしにカギをくれた人……