時の歌姫

「英二さんマジで!?」

彼が驚いたように声を上げる。


「マジだよ。おまえが遅れてくるからだろうが。
呼び出しかかってんだよ」

「例の件ですか?」

「そ。ちょっと兄貴と話してくるわ」


じゃあな、と彼の頭をぽんぽんと叩き、英二さんは本当に出ていってしまった。

途方に暮れた彼の顔。

ちょっといい気味かも。


「コーヒーお持ちしますね」

また文句言われないうちに、とカウンターへ一旦戻った。