時の歌姫

「あ、す、すみません!」
弾かれたようにまわれ右したあたしの後ろで、


「面白いだろ、あの子?」
という英二さんの声と、


「面白いっていうか」

という彼のあきれた声。


恥ずかしいッ!


覚えていたのはあたしだけだったのに、勝手にじろじろ顔を覗きこんでいたなんて。

あれじゃあ絶対変なやつだよ。


カウンターでお盆に手をついてハァーと大きなため息をついていたら。

「ほら、な?」

なんて、追い討ちかけて彼に言ってる英二さん。


もう!恨みますよ!