時の歌姫

そして、あたしは間に合わなかった。


さらに最悪なことに、最終審査だけに参加した大物プロデューサーの機嫌をひどく損ねてしまい、


さんざんボロクソに言われた後、

「真面目な話、この業界で時間を守れない子はやっていけない。
生放送で遅れて、テレビ局間違えました、なんて通用すると思う?」


最後に真顔で言われた一言が、あたしの心にとどめを刺した。


あまりにも自分が情けなくて、ヤス兄にも話せない。

「ミチル、どうした?
大丈夫か?」