時の歌姫

初めは早く着きすぎたのかと思ったけど、時間が近づいても全然人はやって来なくて。


何かおかしいと思ったあたしは、カバンから連絡ハガキを取り出した。


そして、どん底に突き落とされる。


「う、うそ! 二号館!?」

あたしがいるのは、同じ名前の一号館ビル。

たまたま来たことのある場所だったから、間違えてしまったんだ。


さあっと耳のそばで、血の気の引く音が聞こえた。

しかも、よくよく葉書を見ると二号館は隣の駅にある。


パニックになりながら、もつれる手で荷物をつかんで走り始めた。