【純恋side】
「あ〜〜、食った食った」
お腹を擦りながら要くんは笑顔でいう。
あれから、ファミレスに行き夜ご飯を一緒に食べた。
要くんと食べるご飯はとても楽しくて
すごく久しぶりに“食”の楽しさを感じた気がする。
いつもは政治の話や重い雰囲気の中食べているからせっかくのご飯も全く美味しく感じない。
お弁当も一人で食べていたから……。
誰かと他愛もない話をして食べるってこんなに楽しいことだったんだね。
「要くん、ご飯二杯も食べてたもんね」
山盛りてんこ盛りのご飯を軽々と二杯も。
わたしなんて半分でもお腹いっぱいだったのに。
やっぱり、要くんもちゃんと高校生の男の子なんだなぁ…って思った。
だって、いつも大人っぽくて高校生の雰囲気じゃないじゃん。
「調子乗りすぎたわ〜」
えへへ、と笑っている君の隣をこうして歩けていることが、すごく嬉しい。
君といると平常心を保つのに必死なんだよ。
「そろそろ、帰ろっか」
「あ、いや…待って。
まだ行きたいところがあるんだ」
時刻は午後七時を回ったあたり。
だけど、外は真っ暗で、わたしは家へは帰らずカフェにでも行こうかと思っていた。
まさか、引き止められるなんて考えもしてなかったから。