「でも、予約が……」
「そんなのしてあるっつーの。
俺を誰だと思ってんの?」
また、ふわりと自信ありげに笑い、中に入っていく。
わたしも憧れだった場所の門をくぐり抜けいざ足を踏み入れると不思議と体が浮いてしまいほうなぐらい気分が上がる。
そう、要くんはずっとわたしが行きたかったデザイン科のある大学に連れてきてくれたんだ。
行きたくても、夢で終わると思って行けなかったからすごく嬉しくて頬が緩む。
「ありがとう…!」
そう言ってニコッと笑って見せると要くんは口元に手をやって隠す。
「どうしたの?」
「ちょ…いきなり……っ
その笑顔は反則すぎるだろ……」
ええ?
どういうこと?
わたしの笑顔そんなにダメだったのかな?
「ご、ごめん…!」
「いや、謝んないで。
可愛すぎるから……もっと笑って」
ま、またまた可愛いって…!!
みるみるうちに赤くなっていく顔をバッチリと要くんはその綺麗な目に収めている。
「笑ってたら、いい事あるよ」
わたしの頭の上にぽん、と手を置き優しく目を細めて笑う。



