「こうしてれば、辛くない」



そう小さく心地いい声で言って、わたしの体をきつく抱きしめる。


電車の扉のすみっこで…感じる君の体温はとてもあたたかった。



「えっ…でも…」



こんなの心臓が持ちそうにない。
君の吐息が耳にかかるたびにわたしの心拍数は尋常ではないほどに上がっていく。



「いいんだよ。
お前のこと他のやつに触れさせたくなくて
俺が勝手にやってるだけだから」



そっと、耳元で囁かれた言葉たちにわたしの顔はだんだんと熱を帯びてほんのりと赤くなっていく。


本当に要くんの行動や言葉はいい意味でいちいち心臓に悪いんだよ。


でも、要くんのおかげで押された痛かったのも苦しかった呼吸も嘘だったかのように感じた。