「要くん…また可愛いって…」
「可愛いと思ったら何回でも言うよ」
なっ……!
要くんのストレートな言葉にわたしの顔はだんだんと熱を持ち始める。
でも、当の本人は涼しい顔をしていてやっぱり『可愛い』なんて言い慣れてるのかな?など思うと『可愛い』と嬉しいはずなのにどこか切ない気持ちにもなる。
「なにしけた面してんの?」
「…そんな顔してた?」
無意識のうちに複雑な気持ちが表情に現れてしまっていたらしい。
こんなんじゃあ、要くんに気持ちバレちゃうよ…!
「うん、今日はお前に楽しんでもらうために連れていきたいところがあるんだから、そんな顔すんな」
彼が笑えばクシャリと目尻にシワがより、それがいつものチャラさを吹き飛ばし無邪気さを醸し出している。
そして、彼はわたしの手を離すことなく通勤ラッシュが終わった頃からなのか人が少ない電車に乗り込んだ。



