待ち合わせ場所付近に行くと小さな人だかりが見えて背伸びをして中央にいる人を見ると、そこにいたのは要くんだった。


なんとなく、予想はできてたけど。
わたしはそこに行くことなんてできずに人だかりがなくなるまで待つことにした。



「あんなに可愛い子まで……」



わたしなんかとは比べ物にならないほど可愛くて、要くんの隣を歩くには相応しいような女の子たちがたくさんいた。


自分の服装をもう一度上から下まで見て、虚しくなる。
特別いいわけでもないスタイルにみんなみたいにキラキラした服を着てるわけでもない。


はぁ……わたしももうちょっと可愛くなれたらなぁ。
なんて、心の中で叶わぬ願望を呟く。



「可愛い子って純恋のこと?」


「へっ…!?」



いきなり、耳障りのいい声が聞こえてパッ、と頭をあげるとそこにはニコッと意地悪っぽく笑う要くんが立っていた。


い、いつの間に…!?



「てか、ちょっとは助けに来てくんない?」



「だって…いろんな人に囲まれてたから…」



「俺はずっと純恋の事を待ってたんだけど」



「ご、ごめん…!」



「まぁでもいいや。
こんなに可愛い純恋を見れたから満足」



要くんの口は弧を描くように上がっていく。
その笑顔はとても優しくてつい見とれてしまいそうになるほどカッコよかった。


そして、またなんの躊躇もなくわたしの手を取り、優しく包む。