『お前はもう一人じゃない、俺がいる』
「うぅ…っ、ありがと…っ」
好き、がまた一つ募っていく。
人気者の君への恋心なんて叶わない。
でも、どうしようもないくらい好きなんだ。
『んで、何があった?』
しばらく、泣いてから涙も収まってきた頃に要くんが落ち着いた声で言った。
「ちゃんと言ったよ…でも無理だった」
────…才能がない。
ごもとっともすぎて返す言葉もなかった。
わたしは特別絵が上手なわけでもない。
わたしみたいなレベルはそこら辺を探せば五万といる。
『…純恋はデザイナーに本当になりたい?』
数十秒の沈黙のあと、要くんは言った。
「うん…なりたいよ」
たくさんの人に自分がデザインした洋服を着てもらって、喜んでくれているところをこの目で見てみたい。
『親に反対されたから諦める?』
「でも…才能のないわたしには…」
『そうじゃない、純恋はデザイナーになりたいんだろ?』
「だから、それはなりたいよ!」
意味のわからない質問ばかりされてつい大きな声を出してしまった。
「ご、ごめ…『今週の土曜日空けとけよ。んじゃあな』
────…ごめん。
謝ろうとしたのに彼が被せて言葉を発したからきっと彼の耳には届かなかっただろう。
今週の土曜日って……どこ行くのかな?
内緒で抜け出すしかないなぁ……。
なんて、嘘をつこうか。
それよりも要くん…怒っちゃったかな?
心配な気持ちのまま、泣き疲れてそのままベッドまで行き眠りについた。



