【完】幸せは透明度100%




「そうですね。戻ります」



視線を空から下へとさげて、後ろを振り向けばそこにわたしに声をかけた人がポケットに手を突っ込んで立っていた。


わたしに声をかけたのは学年でチャラいと有名な須藤 要(すどうかなめ)くん。


彼もよく授業をサボってる。
なんの理由かは知らないけどね。


というか、最近学校にすら来てなかった。


噂では“女の子たちと毎日のように遊んでた”とか聞いたことがある。


まあ、どうであれわたしこの人のことをあんまり好きじゃない。


チャラいくせに何もかも見透かしたようなそんな目で見てくるから。


今だってそう。
サボろうと思っていたことが彼にはバレているようなそんな気がするんだ。



「別に…戻らなくてもいんじゃね?」


「…は?」



なんなの?

さっきまで“優等生の君は戻らなきゃいけない”みたいな雰囲気で話してたくせに。

まったく、何を考えてるのかわからない人だ。