「それと、この前も言ったけど、言いたいことがあるなら口に出して言うこと。」



言いたいこと……


友達が欲しいとかもっと家族の一員になりたい…お兄ちゃんとわたしを比べないで。


そして……



────…寂しいよ。



誰もわたしを見てくれない。
学校ではまるで、透明人間のようで。
家に帰れば、親のあやつり人形。


ほんとはずっと寂しかったの。
誰かに本当のわたしを見つけてほしかった。



「……寂しいっ…」



要くんの言葉には魔法の力があるんじゃないのかな?っていうぐらい心の奥底に閉まっていた本当の思いがポロポロとこぼれ落ちていく。


でも、落ちて終わるのではなくてそれを優しく拾い上げてくれる人がいる。
それはほかの誰でもない、要くんだ。



「そっか…でも…」



彼の大きな手がわたしの頭の上に優しくポンッ、と置かれ前を向くと彼が微笑の笑みを浮かべていた。



「もう純恋は寂しい思いなんてしないでいいよ」



「……なんで?」



なんでそんなこと言いきれるの?



「だって、これからは寂しいなんて思わせないぐらい俺と一緒にいるんだから」



ああ、やっぱり君は優しい。
こんなにもわたしの心の鎖をあっさりと溶かしていくのだから。



わたしはその言葉に涙ぐみやがらコクンッと一度だけ首を縦に振った。


鳴り止まない鼓動を隠すかのようにして。



それからわたしたちは授業に向かった。
わたしは普段から優秀ということであまり怒られなかった。


一方で要くんはこっぴどく怒られていた。
あとで、謝らなきゃな…そんなことを思いながら授業の内容に耳を傾けた。



要くん……とてつもなく、好きだよ。


片想いでも構わないから
どうか……好きでいさせてください。