とは思うけれど、わたしの鼓動の早さの方が何十倍も早い。
まるで……キスされたあの日に戻ったような感覚に陥る。


あの日もこの温もりを感じることが出来た。
もう二度と感じることが出来ないと思っていた要くんの体温。
しっかり、体に刻み込んでおかなきゃ。



「…か、要くん…!?」


「もう少し…もう少しだけ
このままでいさせて……お願い……」



弱々しいその声を聞けば何も言えなくなる。
今は聞く時じゃない。
いつか、要くんが話したい時に聞きたい。



「うん……少しじゃなくてもいいよ。いくらでも抱きしめるから…何度だって」




────…君の支えになりたい。


いつしか芽生えたこの想い。
この想いに名前をつけるなら……それは恋だと思う。

そのぐらい恋をしたことがないわたしでも分かる。
わたしの初恋が要くんでよかった。


いろんな思いを込めて、要くんのワイシャツをぎゅうっと握って力を込める。



「…ありがとな。俺……純恋にこうしてもらえるとなんか落ち着く」



「それなら、よかったよ」



「純恋は強くなれる。自分の意見をちゃんと言えるような人になれる」



「え?」



こんなわたしでも要くんみたいになれるの?
さっきの言葉を気にしてくれているのかな?