「わたしは…意気地無しだから。
言いたいことも何も言えないでただ黙って従うことしか出来ない。
だから、要くんみたいに行動や言葉でちゃんと自分の意思を尊重できる人がすごく羨ましいの」
なんで、こんなのこと言ってるんだろう…。
こんなこと聞いたらきっと要くんは呆れて笑うんだろうな。
自分で言って笑えてきて、苦笑いを浮かべる。
「……」
一方で要くんはまだ無言を貫き通したままで一つ言うならさっきから感情の読み取れない瞳と視線がぶつかり合ったまま。
そんな彼の様子を少し気にしつつも言葉を続ける。
「要くんは外見だけじゃなくて、中身までカッコイイんだね…ってちょっと…!?」
「……そういうのせこい」
さっきまで黙っていた要くんが口を開いたと思ったら、そんなことを言ってわたしを抱きしめ、わたしの体は柔らかくて温かい包まれる。
ドクドクドク…と耳のすぐそばから聞こえてくるのは彼の生命を奏でる心地いい音。
でも、心なしか少し早い気もするんだけど。



