「要くん…っ!」
やっぱり…彼はわたしが予想した通りの場所に一人で両手をポケットに突っ込みながら緑色のフェンスにもたれながら空を見つめていた。
風がヒュルルルと吹き、わたしの髪を揺らすと同時に彼の綺麗なはちみつ色の髪と耳につけられているピアスを揺らす。
その姿はあまりにも綺麗で画になって……
そして、切なさが胸に押し寄せてきて目が釘付けになった。
切なさが胸に押し寄せてきた訳はただ一つ。
それは要くんが今にも崩れてしまいそうなほど悲しげな瞳をしていたから。
でも、その彼に下手に触れてしまえば
少しずつだけど、築いてきた彼との関係がボロボロと崩れ落ちる壁のように壊れてしまいそうで怖かった。
それぐらい、今の要くんの瞳に色はないように思えて、もしあるとしても雨の日の空のような気が重くなりそうなどんよりとした灰色。
「……」
彼は余程自分の世界に入り込んでいるのかわたしの声は耳に届いてないみたい。
「要くんってば…!」
さっきよりも少し大きな声で呼ぶとやっとわたしの存在に気づいた彼はハッとして弾けたように頭を上げた。



