「『死ね』なんて言われて
いい気分になる人なんていないだろ」
坂田くんの言葉にわたしも同意見で首を深く縦に振りたい気持ちを抑えて見守る。
「そりゃあ…そうだけど…」
バツが悪そうにいう彼はもうそろそろ悪かった、と思い始めてきているような気がする。
「悪いことしたなら謝るのが普通だろ」
「そうだな。悪かったよ、越智」
坂田くんの思いが通じたのか素直に謝罪の言葉を述べて、わたしに向かって軽く頭を下げた。
「いいよ……謝ってくれてありがとう」
謝るのにも勇気がいる。
だって、自分の間違いを素直に認めるって中々できないもの。
「お、おう。こちらこそ」
まさかお礼を言われるなんて思ってなかったのか、彼は動揺しながらわたしから目を逸らし恥ずかしげに言った。
それからわたしは坂田くんにも「ありがとうございました」も頭を下げてから要くんを探しに行った。
もうすぐ授業開始のチャイムがなる頃
本来なら移動教室の準備をしてその教室に向かって廊下を歩いて行かなきゃいけないのに。
でも、そんなこと気にならないぐらい今は要くんを探したかった。



