要くんはしぶしぶ掴んでいた手を離して荒々しくポケットに自分の手を突っ込んで負のオーラを放ちながら教室から出ていった。
そんな要くんをわたしは黙って見つめている事しか出来なかった。
だって、見た目はチャラいかもしれないけど心は誰よりも綺麗で優しい彼が人のことを殴るなんて思ってなかったから。
確かにさっきの言葉は簡単に許してしまってはいけない言葉だけど、あそこまで怒りをあらわにして殴るなんて……。
「なんなんだよな。アイツ
マジでいってぇ……ガチで殴りやがった」
こんなことしたら、仕返しされるかもしれないのに。
仲間はずれにされちゃうかもしれないのに。
それと同時にダメなことはダメだと言える要くんの勇気が羨ましくもなった。
「まあ、お前も言い過ぎたってことだな。
アイツも色々とあるから
次からは要の前であーゆう言葉は禁句だぞ」
クラスメイトの中からそんな声がしてその声はだんだん近づいてくる。
そして、いつの間にかその声の主…坂田(さかた)くんはわたしの隣にいた。
坂田くんは要くんと仲のいい友達なのか一緒にいるところをよく見かける。
見た目は要くんとは正反対で、黒髪のスポーツ刈りで性格も優しいと噂で聞いたことがある。
それに加えて笑顔も、全てが爽やかでたくさんの女の子からも支持を集めているらしい。



