わたしはその手を迷うことなく掴んで、彼同様スカートについた砂をパッパッと払いながら立ち上がる。
「んじゃあ、レッツゴー!」
すぐに手は離されたけど、それ以上にわたしの心は清々しいほど軽かった。
だって、彼がわたしに勇気をほんの少しだけくれたから。
“夢”という名の目標を見つけれたから。
今まで真っ白だった世界に少しずつではあるけど、色づいてきているように思える。
何色かなんて、まだ分からないけどそれでも確実に真っ白なんかじゃなくなっている。
それに…何より……彼…要くんがそばにいて笑って応援してくれるから。
*
要くんはトイレに行きたいらしく、わたしは一人で先に教室に戻った。
クラスに入ると、何故かみんながわたしの方を見てはヒソヒソと話していた。
内緒話…とは思えない。
きっとみんなはわたしの話をしている。
自意識過剰と言われればそこまでだけど
今まで見向きもされず、存在さえ認めてもらっていなかったわたしが急にみんなに見てもらえるわけがない。



