「それは向き合う勇気がないからだろ?」
「え?」
まさかの返しにわたしは目を丸くして驚いた。
「親に見放されるかもとか
余計な事考えて自分の意志を我慢して。
親の言いなりになって暮らす、それでいいのかよ。
やりたいことがあるなら、無理でもやろうとしてみろ」
強い口調で、真っ直ぐで綺麗な要くんの瞳がわたしの目を捉えて離さない。
なんでなんだろうね。
要くんの言葉一つだけでこんなにも勇気が湧いてくるなんて。
────…わたしにもできるかもしれない。
そんな自信がどこからか湧いてくるような、そんな不思議な感じ。
「やりたいなら、ちゃんとそれを言葉や態度に示して伝えろ。きっと伝わるから」
目を細めて優しく笑う要くんの笑顔に引き込まれそうなほど、心が持っていかれる。
なりたい、デザイナーに。
反対されても、頑張ろう。
親子なんだもん、きっと、伝わる。
「わたし、頑張って伝えてみる」
時間はまだあるとはいっても
あっという間に過ぎてしまうし、どんなに余裕があってもいずれは時間はなくなってしまう。
だから、ちゃんと伝えよう。



