「夢を持てるってすげぇと思うんだ。
この世には持ちたくても持てないやつもいるしな。
だからこそ、お前には夢を持ってその大切な夢を叶えてほしい。」
ふわり、と小さく笑いわたしの頭にぽんっ、と手を置いた。
その手は冷たいはずなのに何故かとても温かく感じて、それが心にまで染み込んでいくような感覚だった。
「……ほんとはなりたいよ、デザイナー」
ぽつり、と吐き出した心の奥底にずっと閉じ込めていた本当の気持ち。
“わたしには向いていない”
“わたしを応援してくれる人なんていない”
“叶わない夢なんて見るもんじゃない”
ずっと、そう思っていたからこの気持ちは押し殺していた。
誰もまともに聞いてくれないと思ったし、反対されると思っていたから。
でも、この世界にたった一人…いたんだ。
こんなわたしに笑ってくれて、勇気をくれる人が。
「じゃあ、今からでもまだ遅くないだろ。
専門大学の入試はまだ終わってないんだから」
確かに要くんの言う通り。
まだ、時間はあるけどわたしがその道に進める確率はほぼ0パーセント。



