「叶わなくたっていいよ。
夢を持って、それを叶えようとすることが大切なんだから。」
わたしのほうを見ずにどこか遠くを見るように真っ直ぐ視線を前に向けたまま言う。
そんな彼の表情はとても切なくて、いつもなら輝いている瞳も今は輝きを失っている。
「それに……」
まだ、何かを言おうとしている要くんの表情がだんだんと切なさを増していく。
わたしは黙って彼を見ている事しか出来なかった。
だって、聞いちゃダメな気がする。
バリアが張られている気がするんだもん。
「お前は、デザイナーとか向いてると思う」
え……?
そう言ってわたしにいつものように笑いかけてくれた要くんは本当に普段通りだった。
きっと、さっき言おうとしたことを変えたんだ。
それはもう明白だった。
だって、さっきまでは何か思いつめたような顔してたから。
「わたしは才能がないから」
「そりゃあ、才能は必要だと思うし、好きなことで生きていくのは簡単じゃない。」
「なら…」
「でもな、きっとやりがいがあるよ。
生きてるって、毎日楽しいって感じれる」
───…『なら、なおさら無理だよ』
そう言おうとしたけど、要くんの言葉によって阻まれてわたしは言葉の続きは飲み込んだ。



