【純恋side】
次の日のお昼休み。
わたしは寒いのを承知で屋上で過ごしていた。
ここが一番心が落ち着く。
昨日、帰りが遅かったのは上手く誤魔化したからバレずに済んだ。
分かってはいたけど11月に入り、日に日に冬に近づいていくからわたしの体をひんやりと冷やす。
屋上のアスファルトは冷たいけど
我慢して私はそこに腰を下ろして、スケッチブックを広げ、シャーペンを握る。
ブレザーの裾から少しだけはみ出たクリーム色のカーディガン。
少しは今どきの女の子に見えてる?
なんて、思っちゃったり。
かじかむ冷たい手にふぅーと息を吹きかけて温める。
これじゃあ、今日は描けそうにないな。
昨日は要くんが手を繋いでいてくれたから冷たくなんかなかった。
そう思うと、何故か胸がぎゅうっと締めつけられて苦しくなる。
「さみぃな……ここ。
また、こんなところで何してんの?」
いきなり、後ろからそんな声がして肩をポンと叩かれ、振り返るとそこには要くんがキラキラの笑顔を浮かべて立っていた。
「か、要くん…っ!?」
まさか、要くんのことを考えているときに現れるなんて予想していなかったから心臓が飛び跳ねた。
「うん。で、何してんの?」
「か、風に当たってた…!」
わたしは慌ててスケッチブックを背中の後ろに隠す。
その行動が要くんにバレていないはずがなく、彼の表情が一気に変わり、眉をひそめる。
「今隠したの、なに?」