な、なにここ?
ビックリしている暇もなく、要くんが躊躇することもなくその機械の中に入ったからわたしを置いていかれないようにあとに続く。
中は思っていたより明るくて、後ろには何故か緑のシートが掛かっていて、中央に画面があり、その上あたりにカメラがある。
その画面にもさっきのポージングを撮っていた女の子がキラキラスマイルで映っている。
「か、要くん…ここはなんでしょうか?」
恐る恐る尋ねると、彼は笑顔で答えた。
「プリクラって言うんだよ。撮ったこと…ないよね」
「う、うん」
コクコク、と勢いよく頷いてみせると「モデルになった気分で撮りな」と冗談を言うからクスリと思わず笑っちゃった。
「モデルって…要くん。面白いね」
「笑うなんてひどいな。
俺は本気で言ったつもりだったのにさ」
俯いて本気でしょんぼりしている様子の彼に慌てて謝ろうとしたら、急に頭を持ち上げたから不意に視線がぶつかりあう。
それだけで、ドクンッ!と大きく高鳴る胸に鎮まれ…鎮まれ…と言い聞かせる。
「なーんてね。ほら、早く撮ろ」
イタズラっぽく笑った彼を見てホッとしたのとキュンとした気持ちが入り混じる。
「お、お金…」
「いいよいいよ、今日は俺に出させて。初デートだし」
お金を入れるところにそそくさと400円を入れてしまった要くん。
「そ、そんな…、悪いよ!!」
要くんが友達と遊んだりするためのお金がなくなっちゃうじゃん!!
「いいの。俺にカッコつけさせてよ」
言ってることはかなりナルシストな発言なのに、なんでこんなにも胸がキュンとするのだろう。
使い慣れているのか画面の指示に従って器用に進めていく要くん。
その様子をボーッと見ていると急に肩を抱き寄せられて彼とこれでもかというほど密着する。
制服の上から感じる要くんの体温に顔が熱くなるのが分かる。



