「要くん…!!」
「ん?なぁに?」
今度は聞こえたようで満足そうに微笑みわたしの頭をそっと撫でた。
彼のその行動に心臓がまたうるさく騒ぎ出す。
「な、何も無いよ…!」
「なーんだ、残念。
このまま『好き』とか言ってくれるのかと思ってたのに〜」
その言葉を聞いてやっぱり要くんはチャラいな、と再確認した。
「わたしはそんなに単純じゃないから」
わたしは自分でも理解不能なほど、グチャグチャで…そのくせ中身はからっぽ。
単純でも複雑でもどちらでもないのだ。
「いつか、俺のこと好きって言わせてぇな」
ハハッ、と短く笑いながらいう彼。
「そんなことありえないからね」
「それはわかんねぇぞ。
先のことなんて誰もわかんねぇんだから」
「1ヶ月後には『俺が好きで好きで堪らない!』とか言って泣きついてくるかも知んねぇよ?」なんて呑気に言ってる彼は本当にチャラい。
なのに、なんでそんなに悲しそうに笑うのさ。
気になるじゃん……気になっちゃいけないはずなのに。



