「そんなのしなくても須藤くんはモテモテだよ」
苦手だと思っていたけど、話してみるとそんなに苦手じゃないかも…って早くも思い始めてるから。
「あのさ、それ無意識?それとも計画性アリ?」
「え?」
「その様子じゃ無意識だな。
まあ、そんなこと初めて言われた。ありがと」
何故か、優しい笑みがわたしに向けられる。
そして、手を握る力も少し強くなった気がした。
「う、うん…!」
「てかさ、いつまで俺は“須藤くん”?」
「え?いつまでって須藤くんが婿養子にならなきゃいつまでも“須藤”だよ?」
男の人は結婚しても大体の人は苗字が変わらないし、変わるのはほとんど女の人だもん。
わたしもいつか…変わるのかな?
…なんて、わたしの未来なんてきっと平凡すぎて“幸せ”なんて言えないだろう。
このご時世、好きでもない人と結婚するなんて、普通なら考えられないよね。
わたしも…一生のうちで本気の恋をしてみたい……そう思う日だってもちろんある。
でも、それは現実にはならないだろうけど。



