「見すぎだから…、耳開けたいの?」
「う、ううん…!
いっぱい開いてるなぁーって思って…」
ピアスを開けるのなんて痛そうだし、そんなことしてもし、親にバレてしまったらわたしはただじゃ済まないだろうし…。
だいたい、わたしには不釣り合いだ。
ピアスも須藤くんも。
わたしとは生きる世界が違う人なんだもん。
わたしが知らないようなことでも彼はたくさん知っている。
そして、彼が知らないような勉強のことをわたしが知ってる。
真逆なわたしたち。
そんなわたしたちが今こうして隣に並んで歩いていることすら、すごいことだと思う。
「…まあ、これは色々とあって…さ」
わたしを見つめる彼の瞳が切なげに揺れている。
そんな彼を見て胸がぎゅうと締め付けられて苦しくなる。
「…なーんてね。ただ、モテたかったからって理由」
そう言って彼は誤魔化して笑っていたけど、その笑顔はどこかぎこちなかった。



