『嫌われたくない』
無意識にそう思ってしまっている自分がいる。
あれ?わたしおかしいよ。
いつもなら、勝手に嫌っといて、なんて思って気になんてしてないのに。
「俺…嘘とか嫌いだから。」
「へぇ。そうなんだ」
案外、自分の意志をしっかり持ってたりするのかな?
人は見かけによらないって言うし。
「それに、嘘つきは泥棒の始まりっていうだろ?俺、泥棒にはなりなくねぇしなー」
そんなことを言っている彼の横顔をチラリと盗み見る。
耳がさっき屋上で見たときと同じようにたくさんのピアスで飾られている。
軟骨も数箇所開けられていて見ているだけで痛々しい気持ちになるほどだ。
でも、わたしも……開けてみたいなぁ、なんて好奇心も湧いてくる。
わたしの視線に気づいたのか、彼の綺麗な瞳とバチッと視線が絡み合う。



