舞台の上に立つと、全校生徒や保護者の方が見渡せる。
そこにポツン、と一つだけ空いた席か視界に入り鼻の奥がツンとした。
もう、君に会えない…そう突きつけられているような気がしたから。
二ヶ月ぐらい経っても、まだ悲しみは癒えないままなんだよ。
ふぅ、と心の中で深呼吸をしてから用意していた紙に目をやる。
「春の暖かな日差しが感じられ、たくさんの生徒が通る、通学路にある桜並木が芽を膨らませはじめた本日このよき日。
わたしたち、210人はたくさんの夢と希望を胸に○○高校を卒業します。
三年前の春、義務教育を終え、ドキドキしながら憧れの学校に入学したあの日からわたしたちの高校生活が始まりしました────…」
それからわたしは三年間を振り返った行事ごとについてや先生方や保護者の方に向けての言葉を述べた。
「平成三十年、三月一日卒業生代表、越智純恋」
そして、用意していた紙の内容を全て読み終わったけど、わたしにはまだ言いたいことがある。
180度顔を動かせば、涙を制服の袖で拭っていたり、目を抑えている人がたくさんいた。
深々と頭を下げると、周りからは拍手が飛び交う。
そんな中わたしは頭をあげて、再びマイクに向かって体育館にいる全員に話しかけた。



